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一年越しのアカペラ☆

友人Eさんから、突然連絡があった。

 -「皆さん、久しぶりに歌いませんか?」

ちょうど一年前、いやもう少し前のことであったか、
僕の突然の思いつきで、アカペラグループを結成することになった。
メンバーは4人。
僕、大学の友でありサークルの友でもあるF(N)君、
とある人の紹介で知り合うこととなったEさんと、その友人Yさん。
女性2人、男性2人。バランスが良い。

僕は、およそ70年前、ドイツで活躍したアカペラグループ、
「コメディアンハーモニスツ」が大好きで、
ベルリンにいたころは、毎日のように聴いていた。
僕は日本の大学ではずっとアカペラを嗜んでいたため、
コメディアンハーモニスツには、妙な親近感を覚えたものだ。
何曲か面白がって聴いているうちに、たちまち
彼らが生み出す世界のとりこになってしまったのだ。
「コメディアン」と名がつくように、思わず噴出してしまうような、
そして愉快な歌を彼らはうたうのだ。
だが、そればかりではない。
およそ70年前のドイツの国情を、
皆さんご存知だろうか?
あのヒトラーが、権勢を揮った時代である。
希望を見出せず、厭世観漂う時代の中で、
それでも世界のどこかには小さな希望があるのだ、と
彼らは歌い続けたのである。
メンバーは6人、そのうちユダヤ人は3人いた。
彼らの人気は、ナチス幹部の中でも根強かった。
という理由もあって、ユダヤ人憎悪が高まる時にあって、
当初彼らは、特別に保護されたのである。
しかし、そうは言っても3人にユダヤ人の血が流れている
のは事実。
ナチス党は決して甘くはなかった。
ユダヤ人がメンバーにあっても以前は快く受け入れていた
ナチスも、時と共に彼らを胡散臭い目で見るようになる。
やがては演奏中に妨害行為に出るようなことも起こり、
「コメディアンハーモニスツ」は解散を決意する。
メンバーの内ユダヤ人3人は、アメリカ亡命を果たし、
その後、二度とグループが再結成されることは無かった。

僕はそんな彼らの歌が大好きだ。
今では想像もできないような苦しい時代にあって、
それでも希望を歌い続けた彼らの心が好きなのだ。
僕のわがままだったのだが、そんな彼らの歌を現代に蘇らせたら
面白いんじゃないかなと思った。しかもこの日本に^^;
恐らく、日本では誰も彼らの歌をうたってはいまい。
ドイツ語で、しかも70年前の曲を歌おうという
僕のわがままに付き合ってくれる人はいないものかと、
駄目もとで声をかけてみたところ、なんと4人も集まったのだ。
物好きさん達はやはりいるんですねぇ~。
この呼びかけに集まるだけあって、
さすがに個性的な面子が揃った。

4人。
実は2人程まだ足りていないのだが、
それでも6人のうち半分でも集まれば
歌はうたえると思い、決行。
初めて皆で顔を合わせ、
いきなり歌いだしたのが去年のことであった。

その時ただ一度集まっただけで、
その後は皆の忙しさもあり、全く集まらなかった。
もう、歌うことも無いのかなと思い始めていた最中、
メンバーの元気印Eさんから時の声を頂戴した。

それで先週の日曜日の夜、
一年過ぎ越しに、二度目の顔合わせを果たしたわけである。
一年越し・・・・・気長に歌おうと集まったのだが、
一年越しとは気長すぎる・・・・・・
ある意味、僕ららしいのかもしれない。
東京のほぼ中心に位置する公園で、
キーボードは無く、僕のオカリナと二つのピッチパイプだけで、
音取りをし、歌合せをしてみる。
これって、実はすごいことなのだ。。。
皆できる人たちである。
二度目の練習で、しかもキーボードを使わずして、
なんと一曲最後まで歌い上げた・・・
なんと、心躍るグループであろう。
一緒に歌っていて、面白すぎる!!

歌をうたうことは、僕の人生にはかかせない。
昨日日曜の夜、大好きな仲間と共に歌って、
改めてそう思った。
歌は良い。心から歌える歌は、本当に良い。

月に一度は、日曜日に会い、歌うことに決めた。
気長に細々と、短い時間を楽しみ、心から歌う。
なんと素晴らしいことだろうか。
歌をうたうことの、本質をそこに見る気がする。

恐らく・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
昨日日曜の夜、この日本全国で、
公園でドイツ語の歌をアカペラでハモッたのは
僕らだけだろう。
一億人を超す人口の中で、うちら4人だけ???
そう思うと、僕らは何とすごいことをしているのだと、
そう思わずにはいられない。

いつか、どこかで話題を呼んだりして、、、
なんてことは、夢にも想っていませんよ^^
僕らで歌を愛で、楽しめればそれでよいのです。
皆、ただ歌うことが好きなだけなんです。

コメディアンハーモニスツのとある一曲の一部をご紹介したい。
僕が愛してやまない曲である。
彼らの生きた時代を想って、是非見てほしい。

~Irgend wo auf der Welt~

Irgendwo auf der Welt
Gibt's ein kleines bisschen Glueck
Und ich traeum' davon in jedem Augenblick.

Irgendwo auf der Welt
Gibt's ein bisschen Seligkeit,
Und ich traeum' davon schon lange lange Zeit.

この世界のどこかに、
ほんの小さなかすかな幸せがあるのだと、
いつの瞬間(とき)もそれを夢見てた

この世界のどこかに
わずかな救いがあるのだと、
もうずっと長い間、それを夢見てた。


世の中は明るいだろうか。
いや、あえて言う。
とても暗い。

今日、人身事故の現場に居合わせた。
僕は直接見はしなかったが、
「死」というものが、とても身近に感じられた。
思わず、目の後ろが熱くなるのを感じた。
憤りと悲しみが交じり合って、僕の心を痛めつけた。

命は尊いのだ。
どうして、人は自分の道を自分勝手に決めてしまうのだろうか。
どうして、与えられた命、一度きりしかないプレゼントを
無為に投げ出してしまうのだろうか。
そうさせてしまうには、理由がある。
飛び降りた人、その一人が悪いのだとは、
僕は決して思わない。
だからあえて言った。
やはり、この世は暗い。
世が暗いから、心も呼応して暗くなるのだ。

そんな中、この世には煌々と灯る一つの明かりがきっとあるのだということ、
忘れないでください。
この世界には、確かにあるのです。
コメディアンハーモニスツが歌い求め続けた希望が、
確かにあるのです。身近にあるのです。
それを、自分で見つけようと、生きようじゃないですか!
僕も、頑張ります。信じて、生きます!

W.
by w-tagebuch | 2007-04-17 01:10 | 芸術・音楽・文学(本)
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